JCGGシンポジウム
第10回JCGGシンポジウム開催に向けて
伊藤幸成
第10回目を数える今回のJCGGシンポジウムは、糖鎖科学の力量と碩量というタイトルで開催することに致しました。多様な生命現象の解明において、糖鎖科学の力量に期待が寄せられていますが、そのためには、最近の動向に目を配り、何が求められているか、について敏感である必要があろうかと思います。すなわち、大いなる度量(すなわち碩量)を持ち、虚心坦懐に他分野のトピックスに耳を傾けることが糖鎖科学の発展における糧となり、それによって分野を越えたダイナミックな研究が展開されていくものと期待されます。
折しも、今年度の生化学会大会において、脱“糖鎖生物学”と銘打ったシンポジウムが行われます。その開催趣旨において指摘されているように、研究手法の特殊性に因る、いわゆる糖鎖生物学という輪郭からの脱却が望まれるところですが、糖鎖化学においても同様です。実際、必ずしも糖鎖を専門としない有機合成化学やケミカルバイオロジーの研究者によって行われた新鮮な視点の研究によって、糖鎖科学における多くのブレークスルーが拓かれつつあります。
そのような観点から、特に今回は糖鎖の枠組みを越えることを意識し、特別講演の半田宏先生、吉田賢右先生を始め、多彩な専門の先生方にご講演をお願い致しました。併せて、2010年に始動した、ERATOグライコトリロジープロジェクトの現状をご紹介し、様々な視点からのご助言を仰ぎたいと考えております。
今回は水谷糖質科学振興財団記念シンポジウムに続いて行われるため、例年に比べ変則的な日程になりましたこと、お詫び申し上げます。多数の参加をお待ち致しております。
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